プログラム
プレナリーレクチャー
Prof. Masashi Yanagisawa(University of Tsukuba)
Deciphering the mysteries of sleep: toward the molecular substrate for “sleepiness”
座長:中村 修平(大阪大学大学院生命機能研究科)
Prof. Harald Stenmark(Oslo University Hospital / University of
Oslo)
Cellular membrane dynamics and cancer
座長:吉森 保(大阪大学大学院生命機能研究科)
Prof. Mikiko C. Siomi (Graduate School of Science, The University of
Tokyo)
piRNAs protect the germline genome from transposon invasion
座長:深川 竜郎(大阪大学大学院生命機能研究科)
シンポジウム
1.細胞膜の力学応答、切断、小胞形成の細胞生物学(英語)
JST CREST「計測技術と高度情報処理の融合によるインテリジェント計測・解析手法の開発と応用」共催
JST CREST「細胞外微粒子に起因する生命現象の解明とその制御に向けた基盤技術の創出」共催
細胞膜は、張力に対する機械的刺激に反応します。機械的刺激はまた、細胞外小胞への細胞膜の切断を刺激します。これらの緩衝と切断は、細胞が機械的ストレスに適応するために重要であると思われます。本シンポジウムでは、張力に反応する膜構造としてのカベオラやその他のエンドサイトーシス装置、ならびに細胞外小胞のための細胞突起について紹介し、議論します。
末次志郎(奈良先端科学技術大学院大学)
鈴木健一(岐阜大学)
2.生体システムを支える細胞接着研究の新たな展開(英語)
本シンポジウムでは、多細胞生物体制の根幹を為す細胞間接着や細胞基質間接着に関して、基本的な接着の形成メカニズムから形態形成、加齢や臓器再生など多彩な生命現象における細胞間接着の役割まで、幅広い話題を提供する。特に、細胞接着分子の組み合わせによる細胞接着の特異性が生まれる仕組み(Adhesion code)や、細胞接着あるいは基底膜のリモデリングによる細胞運命の制御など、接着研究の最先端のトピックスを取り上げる。
池ノ内順一(九州大学)
大澤志津江(名古屋大学)
3.メカノバイオロジー研究で迫る細胞—微小環境の相互作用(日本語)
細胞を取り巻く微小環境は、細胞の運動性、形態、増殖、分化決定など、様々な細胞機能を制御する重要な要素であるとともに、生体においては組織の生理機能やがんなどの疾患と関連する。本シンポジウムでは、細胞が微小環境の力学的情報を感知・伝達・応答するメカニズムに注目し、細胞外環境を再現する培養細胞システム、定量イメージング、細胞工学技術等を駆使した、メカノバイオロジー研究者による最新の研究を紹介する。
木岡 紀幸(京都大学大学院 農学研究科)
山城 佐和子(京都大学大学院 生命科学研究科)
4.プロテオスタシス研究から明らかにされる老化の本質とその制御法(日本語)
学術変革領域研究(B)「ポストリソソーム生物学:分解の場から始まる高次生命現象の理解」共催
老化の主因の一つとしてプロテオスタシスの破綻が長く提唱されていながら、哺乳動物における両者の関係性は近年まで十分に解析されてこなかった。一方で最近、オートファジー・リソソーム系の加齢変化が哺乳動物の老化に深く関わっているだけでなく、これらを標的とした老化制御法の開発が可能である事を示唆する結果が我が国から相次いで報告されている。プロテアソームや小胞体ストレス応答についても哺乳動物の老化との関わりが精力的に調べられつつあり、本シンポジウムではこれらのトピックを包括的に取り上げ、各演題の強固なつながりの中から深い議論を生じさせる事を狙いとする。
高杉 征樹(大阪公立大学 医学研究科)
中村 修平(大阪大学大学院 生命機能研究科)
5.バイオロジカルクラスターによる超分子複合体形成(日本語)
細胞を構成する分子複合体の構造や機能の解明は、これまで試験管内で作った複合体を解析することが中心であった。しかし実際に分子複合体が細胞内で機能するには、複合体どうしが動的に相互作用し、細胞内環境の制御を受けながら段階的に高次のクラスターを形成し、超分子複合体として振る舞うことが少なくない。本シンポジウムでは、細胞内で形成される機能的な分子の集合を、特に「バイオロジカルクラスター」と定義し、超分子複合体が細胞内で実際にどのように機能するのかを細胞生物学と物理学の両面から議論する。
深川竜郎(大阪大学生命機能研究科)
北川大樹(東京大学大学院薬学系研究科)
6.オルガネラ膜物性から探るオルガネラの機能(日本語)
AMED-CREST「プロテオスタシスの理解と革新的医療の創出」共催
オルガネラは脂質二重膜によって区画化された構造であるため,膜自身が持つ物性や脂質分子の動態の解析が,真のオルガネラの理解に不可欠である。しかし,これまでのオルガネラ研究は,タンパク質の機能解析が中心であり,膜そのものの性質に注目した研究はほとんど行われていない。本シンポジウムでは,オルガネラの膜が持つ物性を直接測定する技術や,オルガネラ膜物性,脂質動態といった新しい視点でオルガネラの機能,運命を探る最新研究について紹介する。
田村康(山形大学)
高橋 康史(名古屋大学)
7.感じる力と生み出す力による細胞機能の制御(英語)
細胞は、シグナル分子を介して細胞内外の情報伝達を行うが、近年、力を介した細胞内シグナリングや細胞外環境との情報伝達の重要性が明らかとなって来た。本シンポジウムでは、細胞が力や物理的刺激をシグナルに変換する、あるいはシグナルを力に変換する様々な仕組みを紹介する。さらに、力による細胞の増殖・分化や形態形成、運動、組織形成の制御、その破綻による病態等、分子レベルで明らかになって来た最近の知見を議論する。
稲垣直之(奈良先端科学技術大学院大学)
伊藤俊樹(神戸大学)
8.膜ダイナミクス(英語)
新学術領域研究「マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解」共催
生体膜の動態と機能は多様な因子による協奏的な連携で制御されている。本シンポジウムでは、シグナリング、メンブレンコンタクト、生体膜―細胞骨格クロストークなどに焦点を当て、1分子〜超分子複合体まで様々なスケールでの膜のオーガナイズやダイナミクスについて、イメージング、数理モデル、ケミカルバイオロジーなどの手法を駆使して明らかになりつつある最新の知見を共有し、議論したい。
中津 史(新潟大学大学院医歯学総合研究科)
Min Wu(Yale University School of
Medicine)
9.「細胞外キャリア」の多様性とその形成機構(日本語)
JST CREST「細胞外微粒子に起因する生命現象の解明とその制御に向けた基盤技術の創出」共催
細胞間の物質送達システムとして機能する様々な脂質膜小胞が見出されてきた。この「細胞外キャリア」には、エンドソーム由来のエクソソームおよび、マイクロベシクル、マイグラソーム等の細胞膜に由来する様々な細胞外小胞が含まれる。さらにウイルスも、これら細胞外キャリア形成機構を利用している。本シンポジウムでは、現在活躍中の若手研究者を中心に、これら多様な細胞外キャリアの形成機構やその制御機構に関する最新の知見を紹介して頂き、共通点や相違点について議論したい。
小根山千歳(愛知県がんセンター研究所)
福田光則(東北大学大学院生命科学研究科)
10.多細胞システムの自律性を支える競合的・協調的コミュニケーション(日本語)
学術変革領域研究(A)「競合的コミュニケーションから迫る多細胞生命システムの自律性」共催
多細胞生命システムは、自発的に組織や器官を構築する自律性を備えている。細胞集団が自発的に構造を作り出す仕組みが徐々に明らかになりつつある一方で、その形成・維持過程で細胞集団が自身の構造や機能を自ら最適化するメカニズムはほとんど不明であった。近年、細胞間の様々な協調的・競合的コミュニケーションが、多細胞生命システムの自己最適化を支えていることがわかってきた。本シンポジウムでは、多細胞システムの自律性を支える様々なタイプの細胞間コミュニケーションに関する最新の知見を紹介し、細胞集団の自己最適化の原理について議論したい。
石谷 太(大阪大学 微生物病研究所)
井垣 達吏(京都大学 生命科学研究科)
11.「観る」を通して築いた軌跡と若手研究者へのメッセージ(日本語)
細胞生物若手の会
科学者は誰しも、何かの現象を“観る“ことによって、その現象を解明する。特に細胞生物学者は、顕微鏡を通して、細胞レベルから組織レベルの生命現象を見ているだろう。本シンポジウムでは、顕微鏡とその周辺技術において著名な研究者を演者に迎え、豊富な研究キャリアと共に研究の着眼点や、これまでの研究で見てきたモノ・コトについてご講演を頂く。さらに、学生や若手研究者へのエールを目的として、研究キャリアを築いていく中での試行錯誤や苦労話について聴衆参加型のパネルディスカッションを行い、若手の会企画らしく活気のあるシンポジウムを展開する。
平岡泰招へい教授・大阪大学大学院 生命科学研究科
原口徳子特任教授・大阪大学大学院 生命科学研究科
宮脇敦史教授・理化学研究所 脳神経科学研究センター 細胞機能探索技術研究チーム
川野竜司教授・東京農工大学 工学研究院
12.細胞の情報物理学(英語)
新学術領域研究「情報物理学でひもとく生命の秩序と設計原理」共催
分子から細胞、細胞集団レベルまでの様々な階層の生命現象において「情報」は欠くことのできないキーワードである。技術の進歩により定量的な実験が可能となってきたが、生命現象における情報を統一的・定量的に扱う枠組みは存在しない。一方、物理学では、近年、情報を力、エネルギーと同列に物理的対象として議論する新しい理論の枠組みの構築が進んできた。そこで、本シンポジウムでは、情報物理学という理論的枠組みを利用して細胞生物学の理解を深めている研究者に最新の研究成果を発表してもらう。
青木一洋(自然科学研究機構生命創成探究センター)
岡田康志(東京大学/理化学研究所)
13.膜交通経路におけるオルガネラ時空間ダイナミクス ~保存性と多様性~(日本語)
横河電機 共催
JST CREST「細胞内現象の時空間ダイナミクス」共催
細胞内で合成された分泌/膜タンパク質は、様々なオルガネラを介した膜交通経路により目的地へと運ばれる。これらオルガネラの配置や構造は、生物種によって大きく異なる一方、膜交通の分子機構には高い保存性があることが分かりつつある。本シンポジウムでは、様々な生物種を対象にして、分子レベルと細胞レベルの双方向からのアプローチによるオルガネラ時空間ダイナミクスの最先端の研究成果をもとに、膜交通機構の統合的理解に迫りたい。
加藤晃一(自然科学研究機構)
植村知博(お茶の水女子大学)
戸島拓郎(理化学研究所)
14.環境を感じる細胞(日本語)
国際先導研究「植物生殖の鍵分子ネットワーク」共催
多細胞生物において、特定の細胞が特定の細胞外の情報、つまり環境情報を感じ取る。この時、それらの細胞で何が起こっているのだろうか。この長年の細胞生物学の命題に対して、様々な細胞系で新たな展開が見られている。本シンポジウムでは、がん細胞の酸化ストレス防御、線虫の行動を引き起こす刺激と神経活動、植物の重力屈性、花粉管の長距離に渡る誘導など、動植物の様々な興味深い細胞システムにおける最新の知見を楽しみたい。
森田(寺尾)美代(自然科学研究機構 基礎生物学研究所)
東山哲也(東京大学大学院 理学系研究科)
15.細胞ー管腔面におけるメカノケミカルクロストーク(英語)
アイリックス株式会社 共催
学術変革領域研究(A)「力が制御する生体秩序の創発」共催
管腔とは動物の器官に幅広く見られる構造であり、細胞集団とそれらに取り囲まれた内腔 から構成される。管腔構造を形成する分子機序については理解が進んできた一方で、内腔が周囲の細胞にもたらす物理的な効果とその意義には未知な点が多い。本シンポジウムでは管腔の発生を、細胞-内腔面における力作用と化学反応のフィードバックがもたらす「自律的秩序化」と定義し、様々な管腔組織を研究対象とする研究者を集め、管腔を設計する 原理に迫る。
市川尚文(京都大学高等研究院ヒト生物学高等研究拠点)
進藤麻子(熊本大学発生医学研究所)
16.寄生性原虫の細胞生物学から発信する新しい細胞機能研究(日本語)
ベクタービルダー 共催
寄生性原虫は宿主の細胞機能を巧みに使い宿主に侵入、その体内や細胞内で生存・増殖する。また原虫自身も寄生生活に適応した進化を遂げている。形態や動きの違いから、特異な現象が起きた生物といった印象を与えるが、ほとんどの制御分子は広く真核細胞に保存しており、多くの共通項も見いだされる。寄生現象の一端を細胞生物学から紐解き、新たな生体・オルガネラ制御機構について議論したい。
二瓶浩一(微生物化学研究所)
津久井久美子(国立感染症研究所)
17.生体分子の振動波を通して発掘する新しい細胞機能(日本語)
近年のバイオ可視化技術の発展は、細胞機能のダイナミクス研究に新しい視点をもたらしつつある。本シンポジウムでは、生体分子が「振動波」として振る舞う現象をテーマとして、それらの意義をとおして新しい細胞機能を探索することを目的とする。神経系や腸蠕動運動などにみられる多細胞ネットワーク内でのCa2+振動波、また1細胞内での生体分子の空間的振動ダイナミクスを主な対象として、新しい細胞機能を議論したい。若手研究者を中心としたシンポジウム。
高橋淑子(京都大学大学院理学研究科)
18.細胞のidentity changeがもたらす組織再生と老化(日本語)
近年の1細胞解析や細胞系譜追跡技術の進歩により、これまで知られていなかった様々な細胞の分化可塑性が明らかになりつつある。たとえば上皮組織では傷害により特定の前駆細胞や分化細胞の脱分化がおこり、組織幹細胞プールを再生することがわかってきた。一方で、このような可塑性制御の異常は組織の恒常性維持に重大な支障をもたらす。そこで本シンポジウムでは分化可塑性の制御による組織再生と、その破綻(identity crisis)としての老化という正負の側面に光を当て、分子基盤から再生・抗老化医療への展開までを視野に入れた総合的な議論をおこなう。
中西未央(千葉大学大学院医学研究院)